2008年12月12日掲載
第31回 BMLの仕様から見るデータ放送の今後<その2>
いまさら聞けないBMLの基礎知識 〜放送独自の機能〜
執筆:クワトロメディア株式会社 長谷川修平
執筆者プロフィール
では、WEBページの様な画面表示を必要とするコンテンツの場合はどうでしょうか?通常、ワンセグのデータ放送画面から、WEBサーバー上のコンテンツに遷移する場合、BMLブラウザとは別の通信ブラウザを起動して対象のコンテンツを表示します。通信ブラウザを起動するので視聴中の映像は途切れてしまい(音声は維持することも可能)、シームレスな情報配信は実現しません。前述の双方向通信機能を使用すれば、バックグラウンドでの通信が可能ですが、あくまでテキストデータの送受信しかできませんので、WEBページのように画面表示を必要とするコンテンツは提示できません。
番組の視聴を続けながら通信コンテンツへ遷移する方法としては、リンク状態のコンテンツを用いる方法が用意されています。“リンク状態のコンテンツ”とは、信頼できる(放送局が設置もしくは管理する)WEBサーバーに置かれたBMLコンテンツのことを指します。通信経由でコンテンツを取得しますが、BMLブラウザで表示しますので番組の視聴が中断されることはありません。例としては、視聴者に一斉に配信したいトップページ(メニューページ)を放送波で配信しておき、メニュー毎の詳細な情報(容量の大きなページ)はリンク状態のコンテンツへ遷移させるといった方法があります。これは、同報性が高いという放送波の長所と、容量の許容範囲が広いWEBサーバーの長所を組み合わせた典型的な例で、現在提供されているワンセグ向けのデータ放送ではよく利用されています。
WEBページによるサービスでは、ユーザーがもう一度訪れたいと感じたページは、ブラウザのブックマーク(お気に入り)に登録することができ、登録されたWEBページは、ユーザーの任意のタイミングで、WEBページ自体が存在する限りは何度でも閲覧することができます。ワンセグ放送の場合は、仮にリアルタイムの放送をブックマークしても、後から視聴することはできませんので、録画する以外になさそうです。しかし、例えば、自動車のCMをみて、「この車について詳しく知りたい」と思った場合、録画の操作をしているうちにCMは既に終わっているケースもあり、これでは視聴者にとっても広告主にとってもメリットはありません(既存のTVCMとはそういうものですが・・・)。そこで、ワンセグ放送では、「放送ブックマーク」という機能が用意されています。「放送ブックマーク」は、視聴中の番組に代わって、BML内で指定したURLをブックマークさせる機能です。例えば、先ほどの自動車のCMの例では、データ放送画面に「お気に入りに追加」などと書かれたリンクを表示しておき、視聴者が「この車について詳しく知りたい!」と感じたら、リンクを押下してもらいます。すると、メーカーのWEBページがブックマークされ、ユーザーはCMや番組の視聴後に気になる情報を調べることができる上、広告主としてもCMの広告効果を放送時間外まで広げられるメリットがあります。
このようにBMLには通信との連携に用いられる機能が用意されています。これは私の主観ですが、データ放送は通信と連携してこそ真価を発揮できるものと感じています。
次回は放送を取り巻く環境の変化(特に通信に関する環境の変化)について考えてみます。
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(コラム記事/クワトロ・メディア 株式会社 長谷川修平)

