【表】 英・米の主要放送局のIPTVビジネスへの取り組み

放送局 時期 注目すべき動き
考察
イギリス BBC 2003年8月 ・ユーザによる加工を前提とした映像クリップ提供[Creative Archive]。
商業目的でない限り、すべてのコンテンツを無料で自由にダウンロードできる全英国民対象のサービス
・「商業利用禁止」「素材もそれを使用した作品も同じライセンスの元で扱われる」「作者を明記すること」「政治や宣伝目的のために使用してはいけない」「英国内のブロードバンドユーザのみ対象」というライセンス体系が興味深い。無料配信で、公共放送としての役割の一つという位置づけ。
2004年6月

・「BBC Motion Gallery」にて60万時間分(フィルムで約1億5,240万m)にも及ぶ素材映像のネット販売。
・"BBC Motion Gallery"というロゴと素材番号が入るが、HD画像もフルレングスで無料で視聴可能であり、素材販売も行う。

・NHKの素材映像も販売。その他にもBBD Sport、ABC(豪)、CBS、CCTV、Rip Curl、Urban Freestylerの素材もある。

2006年4月 ・「Creative Future 構想」を発表。配信プラットフォームを横断したコンテンツ展開をうたう。 ・これからのBBCのグランドデザインとして注目したい。
2006年11月 ・「BBC World News」がOrange社の携帯電話で視聴可能に。(ベルギー、ポーランド、オランダ、ルーマニア、ポルトガル、ヨルダン、エジプト、ドミニカ共和国)  
2006年12月 ・AzureusのP2PシステムでBBCの一部の番組をPC向けにダウンロード配信。無料配信で、権利コンテンツは配信先が限定される。  
2007年3月

・Youtubeと提携して「BBCチャンネル」を設置。人気番組のショートビデオやニュースなど次の3チャンネルを配信。

ニュースチャンネル:「BBC World News」、エンタテインメントチャンネル:「BBC World-wide」、人気番組関連クリップ:「BBC」

・広告モデルで、YouTubeを"販促用の車"にたとえて、YouTubeでBBCの番組を見たユーザを自社のウェブサイトの誘導する効果も狙う。

・著作権問題については、BBCがニュースサイトで伝えるところによると、BBCのディレクターAshley Highfield氏は「一部の例外を除いて、既にアップロードされているコンテンツについては著作権を問わない。基本的には、YouTube(にアップされたコンテンツ)は自社のよい販促コンテンツになっている」との興味深いコメント。

また、同ニュースサイトで「YouTubeとはこの3チャンネルの配信について、すでに数年契約をしている」とも記述されていた。

2007年5月 ・VerizonのIPTVサービス「FiOS TV」にて『BBC World News』を配信。 ・VerizonのFiOS TVは2007年5月時点で米国内の10州でサービス中。34万8,000人のユーザがいて、24のHDチャンネル、8,600のVODタイトルが利用可能と公表。

・2005年から提供してきた「オンライン・コンテンツ配信サービス」について、オンデマンドサービス(見逃し視聴サービス)を行うことをBBCの独立管理機関「BBC Trust」で承認。
・承認されたのは次の4サービス。1.テレビ番組の放映終了後7日間のインターネットによる見逃し視聴サービス、2.同じく放映後7日間のケーブル経由での見逃し視聴サービス、3.テレビ配信と同時のネットによるストリーミング配信、4.デジタル著作権管理(DRM)のないオーディオのダウンロードサービス(ポッドキャスティング)。

・同録再送信となると映画等のBBC以外の制作番組の権利処理をどうするのか?
ITV 2007年5月

・インターネットでの同時再送信と30日間と「見逃し視聴サービス」を5月に発表し、6月よりサービス開始。
・「Best of ITV」のアーカイブコンテンツも容易する。プロモーションビデオ、予告編、インタビューなど番組を楽しむためのコンテンツも合わせて配信。ビデオニュース投稿なども可能に。ブロードバンド配信専用コンテンツも用意する。広告モデル。

 
アメリカ NBC 2005年9月

・VerizonのIPTVサービス「FiOS TV」でCNBC、CNBC World、MSNBCなどを配信。

 
2005年10月

・iTunesで一部の番組を配信。1エピソードUS$1.99ドルで販売。

・過去の番組に加えて、現在放映中のものは、放映の翌日からダウンロード購入可能。

 
2006年
3月

・NBCのCEOがブロードバンド構想「TV360」を発表。

 
2006年
9月
・米Time Warner傘下のTime Warner Cableのサービス「Quick Clips」向けに、CNBCからCEOインタビュー、アナリスト報告書、市場業界ニュースなど、2分から7分程度の新しいクリップを毎日5本提供する。ケーブルテレビ・サー0ビスの一部。 ・「Quick Clips」はTime Warner Cable’s Enhanced TV向けのサービスで、本サービスに参加しているチャンネルを視聴中にSELECTボタンを押すと番組関連情報のショートクリップが視聴できるというサービス。番組を視聴中に別のクリップを見たいかどうかは判断の分かれるところだろう。
・インターネットで一部の番組の「見逃し視聴サービス」を実施。
2006年11月 ・AT&TのIPTVサービス「U-verse」で配信。ライブ、HD映像、映画のVODを配信予定。 ・AT&Tは2008年までに19万世帯にFTTHまたはFTTP契約をする予定と発表。
・Microsoftの携帯型音楽再生端末Zuneで一部の番組を配信。
・NBC報道番組『NBC Nightly News with Brian Williams』がビデオポッドキャストでの番組提供を開始(無料)。月曜~金曜まで毎日午後10時(東海岸時間)から番組をまるごとダウンロードできる。
 
2007年
3月
・携帯向けテレビ配信サービスの米MobiTVとプライムタイムのテレビ番組を、MobiTVで配信する契約を結んだと発表。
・既に主要放送局の短編番組を配信していたが、プライムタイムの番組をフルレングスで流すのは初めて。料金は、1エピソードUS$1.99で24時間視聴可能だが、料金は使用する通信業者により異なる。
・MobiTVは、2007年2月の時点で、ワールドワイドで加入数200万を突破した人気モバイルサービス。
2007年
4月
・Verizonの携帯電話向けMediaFloサービス「V CAST Mobile TV」にNBC EntertainmentとNBC Newsの2チャンネルを提供  
2007年
5月
・2004年6月より試験提供していた携帯電話向けニュースサービス「MSNBC.com Multimedia on Mobile」の無料配信サービス開始。
・MSNBC.comのニュース記事と映像、写真にアクセス。
・US国内向けサービスで、対応機種は今のところWindows Mobile搭載のスマートフォン。
 
2007年
6月
・同社が提供するニュースを中心とするオンラインコンテンツを、ユーザが自分のブログなどに組み込み、配信することを可能にするウィジェットを発表。  
2007年
・NBCとNews Corp.が共同でビデオ配信サイト立ち上げへ。
・AOL、 MSN、 MySpace、 Yahoo! がサービス当初の配信パートナーとなる予定。フルレングスの番組、映画、クリップを配信予定。まずは、US国内に限定での広告モデルサービスになる模様。
・フルレングスの映画を無料で見られる魅力的サービスだが、広告だけでペイするのか?DVDパッケージビジネスなどに与える影響も気になるところ。
ABC 2005年9月 ・ABC Newsの動画ニュース クリップをYahoo!サイトにて無料配信。広告モデル。  
・VerizonのIPTVサービス「FiOS TV」で『ABC News Now』『Disney Channel』を配信。  
2006年
5月
・インターネットで一部の番組の見逃し視聴サービスを広告モデルで実施。 ・米国のみ視聴可能。

2006年8月

・iTunesで一部の番組の関連コンテンツを配信、歴史的なニュース映像を「iTunes Music Store」で販売開始。
・配信されるのは、『ABC News Specials』『Celebrity Flashback』『The Day It Happened』の3チャンネル。1番組US$1.99の課金モデル。
 
・ABC News Nowを携帯向けテレビ配信サービスの米MobiTVで配信開始。  
2007年5月 ・The Disney-ABC Television Group が米国携帯電話キャリア大手のSprint のモバイルサービスに『ABC Entertainment』『ABC News and Disney Channel』を提供することを発表。  
2007年7月初旬予定 ・インターネットで人気番組のフルエピソードをHD映像で配信開始する予定。 ・ON2コーデックで2Mbps以下での配信。解像度不明。
CBS 2005年12月 ・PC向け自社配信サイト「CBS News Video」で広告モデルのコンテンツ配信。  
2006年2月 ・CBS CorporationのShowtime Networksとアップルは、ゴールデングローブ賞にもノミネートされた「Sleeper Cell」と「Weeds」を含むSHOWTIMEからのプレミアムケーブルテレビ番組をiTunesで提供することを発表。1エピソードUS$1.99の課金モデル。  
2006年3月 ・VerizonのIPTVサービスFiOS TVでコンテンツ配信の契約。  
2006年9月 ・Amazon UnBoxにコンテンツ提供。
・テレビ番組が1エピソード当たりUS$1.99の有償サービス。映画はほとんどがUS$7.99~14.99で購入できるほか、公開されたばかりの新しい映画をUS$3.99でレンタル可能。
・VC-1 Advanced ProfileでDVD並みの映像品質を実現している。
2006年10月 ・「Yahoo!News」にニュース映像供給契約。
・1日当たりの配信本数は10~20本。ユーザは都市名や郵便番号を指定して特定地域のニュースを検索。
 
2006年11月 ・Xbox 360を対象にテレビ、映画のコンテンツ販売。
・HD版の『CSI』『スタートレック』(リマスター版)などを投入。『NASCAR NEXTEL Cup Series』『Ultimate Fighting Championship』などのスポーツ番組もダウンロード販売されるのは初めて。ダウンロード販売で映画はレンタルのみ。
 
2007年1月 ・全米家電ショー(CES)では、CBSのレスリー・ムーンベスCEOがYouTubeなどのあらゆるメディアを使い、本放送を見てもらう話題づくりをすると宣言。  
2007年2月 ・モバイル部門 CBS Mobile を設立。  
・米国3大携帯電話キャリアであるAT&T/CingularにCBS Mobileとしてモバイルコンテンツを提供することを発表。  
・Verizonの携帯電話向けMediaFloサービス「V CAST Mobile TV」にチャンネルを提供することを発表。  
2007年4月 ・米国携帯電話キャリア大手のSprintのモバイルサービスに、ニュースとエンタテインメントコンテンツの一部をフルレングスでVOD配信開始。  
・Sling Media、Veohの10社と提携して、人気番組の「見逃し視聴サービス」のほか、ニュースやスポーツ番組などを配信。番組は米国内のみであるが、一部のビデオクリップやスポーツ番組は世界中に配信される広告モデル。  
FOX 2006年6月 ・IPTVとブロードバンドサービスプロバイダの「Optical Entertainment Network」 (OEN) が Fox Cable NetworksとFOXのすべてのコンテンツをOEN FISIONの定期購読者にIPTV配信する契約。  
2006年9月

・Amazon UnBoxにコンテンツ提供。
・テレビ番組が1エピソード当たりUS$1.99の有償サービス。映画はほとんどがUS$7.99~14.99で購入できるが、公開されたばかりの新作はUS$3.99でレンタル可能。

・VC-1 Advanced ProfileでDVD並みの映像品質を実現しているという。
2007年2月 ・Verizonの携帯電話向けMediaFloサービス「V CAST Mobile TV」にチャンネルを提供することを発表。  
2007年3月 ・Vividasと2007 Copa Libertadoresのフットボール試合生放送10番組を流すことを契約。最初の数番組以降は1試合US$5.99のPPV。  
・「FOX on Demand」を通して、FOXの番組をMySpaceや200以上の系列局を通して配信。「見逃し視聴サービス」でトランザクションと広告からの利益分配型モデル。  
CNN 2005年9月 ・CNN.comの動画ニュースクリップをYahoo!サイトで広告モデル配信。  
2005年12月 ・PC向けサービスの専用ニュースチャンネル「PipeLine」。
・編集された映像だけでなく、現地からの中継生映像もそのまま配信。
・専用アプリをインストールして再生。月額US$2.95の有償サービスだったが、2007年7月から無償化。
・2006年9月の時点で、120万の専用プレーヤーがダウンロードされ、平均16万8,537人の同時アクセスユーザがいたという「CNN Pipeline」サービスが無為賞サービスに踏み切るのは、ポジティブな理由なのか、そうでない理由なのか。
2006年7月 ・「CNN Exchange」を始める。市民ジャーナリズムの可能性を広げるため、ユーザから寄せられた動画、音声、テキストを閲覧したり、共有したりできる動画共有サイトで、同社Webサイト内に開設。内容を精査してCNNの番組に取り上げることもある。 ・ニュース版YouTubeとも言えるユーザ投稿動画共有サイトで、仕組みはhttp://blip.tv/を利用。
2006年9月 ・携帯向けテレビ配信サービスの米MobiTVにコンテンツ提供。  

・米Time Warner傘下のTime Warner Cableのサービス「Quick Clips」向けにCNN.comから最新コンテンツを提供。ケーブルTVサービスの一部。
・「Quick Clips」は短いビデオコンテンツをTVにプッシュする。例えばWeather Channelの『Storm Stories』を視聴しながら、同チャネルが提供するほかのコンテンツ、地元の天気予報などのクリップを表示できる。天気予報を見終わると、画面はまたもとの『Storm Stories』に戻る。

 
2007年5月 ・米Internet Broadcastingに全国ニュースや政治、国際ニュースコンテンツを提供。Internet Broadcastingは、CNNのWebサイト「CNN.com」にローカルニュースを提供する広告モデル。
PBS
 
PBS 2006年6月 ・VerizonのIPTVサービス「FiOS TV」で配信。  
2006年7月

・NPO「Open Media Network」と共同開発で、一部の番組をインターネットで配信。1エピソードUS$1.99 の課金モデル。再生には専用アプリが必要だが、DVD品質の映像が楽しめるのが売り。同サービスは、PC、モバイルメディアプレーヤー、携帯、STB向けにも展開。

 
・「Google Video」での配信。
・プレビュー映像を低解像度で配信し、本編を高解像度で1エピソードUS$1.9ので課金モデル。同時に、PBSの地方局の会員登録も促す。
 

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